アルプス山脈を越える

2013年1月、イタリア、オーストリア、スイスと、それぞれの国で行われたバルーンミーティングに参加し、計4回のアルプス越えロングフライトを体験してきました。

天候にも恵まれ、雪をかぶったアルプスの絶景を堪能する事ができました。

Dobbiaco, Italy

2012/01/09 ~ 01/12

イタリア北東部オーストリアとの国境近くにあるアルプス山脈に囲まれた小さな町「Dobbiaco」で行われるバルーンフェスティバル。谷間を中心に競技フライトを行うグループとアルプスを越えてロングフライトを楽しむグループとに別れてフライは実施されていましたが、雪山をバックに十数機の熱気球がゆっくりと飛び交う姿はまさに絶景です。

 

1日目は谷間のフライトで練習をし、2日目にはロングフライトに挑戦。 アルプス山脈を越えて南に広がる平野まで約3時間、延々と連なる美しい山並みを堪能することが出来ました。


3日目

Dobbiaco-Zagreb

5時間30分に及ぶ超ロングフライト。

風が穏やかで、一見長距離には難しい天候でしたが、5000m上空の風を使ってのロングフライトを実施しました。

Dobbiacoを離陸したアコンカグア号は上空5000mまで上昇し、時速80kmの西風に乗ってアルプスの終わりを目指します。

この日は非常に冷え込みが強く、上空での気温はマイナス40度を下回りました。

イタリアからオーストリア、スロベニアを通下してクロアチアまで約400kmにも及ぶフライトとなりました。

気球を追いかけるチェイスカーが辿り着くのも大変で、回収が終わってイタリアの宿に戻ってきたのが午前3時頃でした。


超低燃費バルーン 「ECO-MAGIC」

 

 

今回驚異的な燃費の良さを見せてくれたUltraMagicの超低燃費バルーン"Eco-Magic"は、サイズが180(体積5,100㎥)で、保温性の高い特殊な布のダブルレイヤー加工で出来ています。球皮の上半部が二重構造で、毛玉上の繊維が保温性を持続させます。

 

消費ガス量は普通の気球の3分の1ほど

 

イタリアからクロアチアまでのロングフライトでは、立ち上げ後40分間の待機、巡航高度5,300m、フライト時間5時間30分、飛行距離380kmにも関わらず、使用したガスの量はたったの100kg!!

長距離フライトにおいてガス欠の心配がなくなり、安心して飛行できます。


Filzmoos, Austria

2013/01/13 ~ 01/15

イタリアからオーストリアのFilzmoosへ移動です。雪は更に深くなり、町の雰囲気もまるでおとぎの国のよう。この大会は国際色豊かで、イギリスからChrispin氏、アメリカからDavid Levin氏が参加していたりと、思わぬ再会がありました。

世界各国から集まった2,30機のカラフルな熱気球が小さなランチサイトから、次々と押し出される様にして離陸していきます。

澄み渡るようなブルースカイと太陽、真っ白な雪、ここでのフライトが最も美しく神々しい景観でした。

離陸地から北東方向へドナウ川を上空から眺めながら横断し、その先に広がるなだらかな丘の中腹に着陸しました。雪景色のなか小鹿の群れが近くを駈けて行きます。


Chateau-d'Oex, Switzerland

2013/01/30 ~ 02/03

1月の終わりには、スイス、シャトーデーで開催される熱気球大会に3日間だけ駆け込みで参加してきました。

悪天候が予想されていましたが、到着日の翌日は奇跡的に天気が回復、またロングフライトには好条件の風向きと風速が整いました。

 

アコンカグア号と、もう1機のEco Magic の機体が朝9時20分、シャトーデーのランチサイトから離陸をします。アルプスの山肌を舐めながらゆっくりと上昇し、高度5000mを目指します。この日は非常に速い風が吹いていて、最高速度は時速120kmも出ていましたが、高高度と雄大なアルプスの風景でゆっくりと流れていくように感じました。

 

 

途中でマッターホルンやモンブランを望む事ができ、大変感動的なフライトとなりました。

 

アコンカグア号はMilano上空を通過しながら南東方向を目指し、Ferraraという町の近くに無事着陸しました。

フライト時間は4時間21分、飛行距離は385kmに及びました。